ニンテンドーラボが人気らしい。
ニンテンドーラボが人気らしい。
『Nintendo Labo』は、いろいろな形に組み立てたダンボールとNintendo Switchを合体させ、自分だけのコントローラー「Toy-Con」をつくってあそぶ、これまでにない体験ができるキットです。
動く組み立て説明書を見ながらToy-Conを「つくる」。
Nintendo SwitchのJoy-ConとToy-Conを合体させて「あそぶ」。
作ったToy-Conの仕組みを理解してさらなるあそびをつくる「わかる」。
「つくる、あそぶ、わかる」を体験しているうちに、いつのまにか自分だけのあそびを発明できるかもしれません。
段ボールを組み立てて遊ぶなんて、諸葛亮孔明並み天才的発想。
組み立て方法は手取り足取り、スイッチが教えてくれる。画面をタッチするだけで作れる、動く組み立て説明書と銘打っているだけあって、小さい子供でも簡単に作成可能。鋏を使うこともないので、安心安全。知育にも最適な今商品。
でもなんだかなあ、と、哀しい気持ちになるのはどうしてなのか。楽しくゲームしているんだから問題ないじゃない。でもなあ。このもやもや感は一体何なんだろう。
ゲームが嫌いなわけじゃない。
実際、ぼくの子供時代も任天堂さんにはずいぶんとお世話になっていて、一番初めに買ったゲームボーイでは、ポケモンが大流行して、躍起になって「ポケモンゲットだぜ!」と連呼していた。モンスターボール投げまくりの人生だった。
友達と遊ぶのもゲームばかり。秘密基地で集まって、ポケモンバトルしたり、交換したり、ときにはセーブデータを消されて泣いたり。ラジバンダリ。遊びとゲームは切っても切れないN極S極的な関係性。
だからゲームはむしろ好きなくらいだ。
今回のラボは、デジタルとアナログの融合を可能にした特例で、まず間違いなく子供たちにはうけるだろう。工作が嫌いな子供なんていやしない。わくわくさんとゴロリを知らない子供なんて子供じゃない。
しかし、引っかかる。なにかが。そのもやもやは、稲敷に住んでいたおかげで解消された。
その日、ぼくは江戸崎・笑遊館にて、幼稚園生相手に、紙芝居を読み聞かせていた。三日目ということもあって、初日のように幼稚園生相手にガクガクブルブルすることもなく、難なく一押し事終え、帰ろうとしたとき「笹船作ったことある?」と、唐突に、おば……おねえさまに聞かれた。
ぼくは全くピンと来ずに、「新聞紙で作るんですか?」と見当違いの質問をしてしまったのだけれど、相手は特に気にも留めずに笹船の作り方を教えてくれた。
作り方はいたって簡単だった。笹の葉を一枚用意し、中央に両端を持ってくるように折り曲げ、折り曲げたところに二つ縦に切込みを入れる。切り込みを入れたら、片方をもう片方に折り込む。←説明下手でごめんなさい
その些細な時間を、ぼくはとても楽しんだ。笹船の作り方を知らなかったから、一つ勉強になったのもそうだし、こうして交流が持てたことに「稲敷はいいなあ」と、思えたからだった。
ぼくがニンテンドースイッチラボに対して悲しみを覚えたのは、「教えてくれる先生が機械」であることに他ならなかった。親が教えてくれるわけでも、友達が教えてくれるわけでも、おばあちゃんおじいちゃんが教えてくれるわけでもない。機械が教えて、子供が作る。そこには、昔ならあったはずの交流が欠如していて、ひどく無味乾燥としたつまらなさをひしひしと感じてしまった。
この現象は違う場面でもよく遭遇する。例えば、松屋ややよい軒などの定食屋。チェーン店にありがちな、タッチパネル式の券売機においても、同様のむなしさを感じてしまう。タッチパネルの券売機は急いでいるときには便利だし、店員さんサイドも余計な仕事をせずに済むから一石二鳥なのかもしれないけれど、「機械」が相手だとどうしてもやるせなくなって、コミュニケーションを取ることも酷く億劫になってしまい、「ごちそうさま」も言わずにその場を立ち去ることが多い。機械を介在させるだけで、コミュニケーションを取る場が一つ減ってしまうのだ。
昔は「大人と子供」の交流だったのが、今は「機械と子供」の交流になってしまっている。それはそれで面白いし、楽しいけれど、子供時代に受ける影響ってやっぱりすさまじいものがあるから、機械だけに頼って知育するのも違う気がする。大人と子供の交流があって初めて信頼関係が生まれて、人を好きになって、ひいては地域が好きになって……。
大人と子供が交流する機会をもっと増やさなければ。
稲敷でやったるで。
稲敷郡美浦村にある『あたり屋』を小説風に紹介してみた!
NBOXから見える景色は田園風景ばかりだった。
感情の赴くままにアクセルを踏むので、時速はゆうに八十キロを超えていた。ハンドルを切る手にも次第に力がなくなっていって、カーブを曲がる刹那、対向車とあわやぶつかる寸前だった。当たり屋と思われてもしょうがない所業を繰り返して、美由紀は、NBOXを爆走させた。
行くあてはない。近くを電光石火のごとく疾走し、風をきってすべてを忘れるだけだった。途中、工事なのか、異様に続く渋滞が起きていて、対向車の車もろくすっぽ確認しないままUターンし、別の道を走る。
車は走行を続け、いつの間にか稲敷から離れ、美浦村までやってきていた。趣のある店に目をひかれ、特にお腹もすいていないのに駐車場に車を停める。
『あたりや食堂』と呼ばれるこの店は、50年以上続く老舗料理店である。座敷に案内され、美由紀は、キャットフィッシュと呼ばれるアメリカナマズを使用した天丼、『霞天丼』をオーダーした。
見た目はただの天丼だ。ナマズのインパクトを求めていた美由紀は「なあんだ」と、独り言を呟いた。
具材を確認してみる。ピーマン、かぼちゃ、レンコン。地元でとれた新鮮な農産物をフル使用している。これは楽しみだ。美由紀のよだれは壊れた蛇口のようにただ漏れだった。
そしてとうとうこの丼のドン、ナマズ様をゆっくりと持ち上げる。ずっしりと重い。箸で中を視察してみる。ナマズ様のご登場だ。なるほど、ナマズ様は白身なのか、と美由紀は驚いた。これは美由紀の勝手な思い込みだが、ナマズといえば汚い川に生息しているものと了見していたので、白色がナマズの正体と言われてもあまりピンと来なかった。腹黒だと思っていた友人が、捨てられていた子犬を拾っていたくらいの衝撃を受けた。
ナマズ様は最後のお楽しみでとっておき、美由紀はまずピーマンのてんぷらを口に入れた。にがみが羽毛布団のように優しく広がっていく。それに相反して、カボチャのてんぷらはフルーツのように甘い。ピーマンの苦みを浄化していく。
続いてレンコンを食す。レンコンはさもさっき取ってきてすぐ油に通したのかと思うほどシャキシャキとしていた。
そうして待望のナマズ様を口に放り込む。臭みはほぼ感じない。口に入れて噛み、ふんわりとした触感を感じて、のど元まで下りてきたときにようやっとナマズ独特の臭さを感じるが、それも大した臭みではなく、パクチーなどと同様に癖になる臭みだった。
この定食には、天丼のほかに、ナマズの練り物が入ったお吸い物がつけられているのだが、こちらのナマズはおそらく好き嫌いがはっきり分かれる臭みで、天丼のナマズ様よりも臭みが強い。しかし決して食べれないほど臭いわけではなく、より近くにナマズ様を感じたいときに適したお吸い物だろう。
キャットフィッシュ。おお、キャットフィッシュ。フィッシュフィッシュキャットフィッシュ。フィッシュフィッシュキャットフィッシュ。
これは「あたり」だ。美由紀は歯に詰まった天かすをつまようじでとって、満足そうに店内を後にした。
「ねえ、きみ!」
呼び止められ、美由紀が振り返ると、そこには見知らぬ青年が立っていた。
「ええ、と。どこかでお会いしたことありましたっけ?」
「本当に覚えてないの?」
「ごめんなさい。会社関係の?」
青年は答えない。
「じゃあ料理教室で?」
青年は苦笑い。
「でないとすると、母親のお友達かなにか?」
青年の眉が曲がる。
「しょうがない。分からないようだから教えてあげよう」
青年が笑う。
「おれが君の婚約者だ」
「ふぇ、ふぇえ?」
くわえていたつまようじが地面に落ち、ころころと転がって、この場から一番逃げ出したい美由紀を置いて、排水溝に吸い込まれていった。
『あたりや食堂』
営業時間:11時00分~20時00分
定休日:火曜日
電話: 029-885-2016
この物語を初めから読みたいならこれを読むべし!
↓
追記
美浦村は金持ち村らしい
あーあ。宝くじ当たんないかな。買ってないけど。
稲敷駒塚にある『グリーンヘブン』を小説風に紹介してみた!
ひいき目に見ても、大惨事は必至だった。
県道49号線に引かれたブレーキ痕は、弧状に広がり続け、反対車線を走る車を何とか回避しながらガソリンスタンドの看板に大きなひずみを加えた。整体院から女性客が出てきたかと思えば、耳を防ぎたくなるほど明瞭な悲鳴声を上げ、ガソリンスタンドの店員はノズルを地面に落とし、口をあんぐりと開けるばかり。
当の車は、蜘蛛の糸を張り巡らしたくらいでは済まない程度の亀裂をフロントガラスに刻み、運転手の白けた顔が丸見えだった。
名も知らぬひょろひょろ男が瓜田に近づいた。口を開けて喋っているようだが、耳鳴りのせいで瓜田には全く聞き取れなかった。
「――ですか?」
口の動きだけで推測するに、だいじょうぶですか? とほざいているのだろう。いったい誰のせいでこんな悲惨な目に遭っているか、このひょろひょろ男は分かっているのだろうか。
右目だけで伊奈帆を見た。左瞼は血で覆われて開けることができなかった。痛みはないのに、脈打つたびに傷がうずいてしょうがない。
伊奈帆は人違いかと疑心するほどひょうひょうとしていた。相変わらず穿いているスニーカーは真っ白で、タイトパンツには皺ひとつない。表面ばかり気にして奥まで読み取ろうとしない、彼女の性格が着ている洋服にまで転移していた。
「救急車!」
声を上げたのはなよなよ男でも、伊奈帆でもなく、その辺を歩いているソバージュのおばさんだった。
「はやく! もうなにしてんの!」
目の前の若者二人が使えないとみるやいなや、おばさんは懐から自身のスマホを取り出して、救急車を呼びだす。次第に瓜田の前には人が集まってきていて、道路は通行止め状態。クラクションが鳴っても気にするそぶりも見せない。そのうちに怒鳴り声がして、瓜田は頭をおさえずにはいられなくなった。ミミズが這うように、鈍痛が頭に巡っていく。
救急車がやってきたのは、それから二十分してからだった。どうやらこの通行止めのせいで足止めを食らっていたらしい。担ぎ込まれてすぐに救急隊員が息をのんだ。通行人のワイシャツをぐるぐる巻きにして何とか止血していたものの、今となっては真っ白だったそれも、真っ赤に染め上げられている。遠のく意識を無理やり起こすことはもうできそうもなかった。
――という想像を、車道に飛び出した瓜田は、一瞬のうちにして見せた。甲高い急ブレーキ音が、鼻先をかすめていく車体を引き連れ、後方へと流れていく。動くものすべてがスローモーションに感じられた。死の間際に思い返すことといえば、背中毛多し・百夜の背中毛の長さと、『グリーンヘブン』にあるE弁当のことばかりだった。
7~80代くらいのおばあちゃんが揚げ物を揚げている様子も同時に思い起され、瓜田は何故だか泣きたくなってしまった。
E弁当は簡単に言うと男向けの弁当だ。暴力的なまでの肉祭り。神輿をかついでわっしょい、わっしょい。色合いなど気にしない。栄養素など捨て置け。ごはんに合うおかずさえあればいいのだ、という男の欲望のど真ん中を射抜くこの弁当は、ごろごろと評するにふさわしい唐揚げが二つと、分厚いハンバーグがでんと置かれている。唯一の色彩、緑のキャベツは、ボリューミーな肉の下敷きになっており、小さな弁当国における奴隷関係が見事に表現されている。ナポリタンでさえもそのようなぞんざいな扱いをされているのだから、キャベツの出る幕はない。脇役中の脇役、サスペンスドラマなら、初めに死体としてでてきた登場人物Aの友人Bと恋仲にあるが今はただの他人同士のCくらいに脇役だった。
まず唐揚げを食す。一口では到底食べきれない程度の大きさで、瓜田は顎が外れる思いだった。顎関節症が彼の悩みでもあった。味はいたって普通の唐揚げで、普遍的だからこそ、懐かしい思いに浸れる、あの十五の夜。盗んだバイクで走り出す。行き先も分からぬまま。自由になれた気がした。十五の夜。
続いてハンバーグを食す。こちらもどこかで食べたことのある、安心感で満たされるデミグラスソースを使用しており、懐かしい思いに浸れる、あの十五の夜。覚えたての煙草をふかし。星空を見つめながら。自由を求め続けた。十五の夜。
仲間たちがだんだんと遠のいていく。結婚し、子供ができ、親父になる。もう十五の夜には戻れない。瓜田にはグリーンヘブンのE弁当は少し塩がききすぎて、いつも「しょっぺえなあ」と、霞む視界を空に向けながら、またご飯をかき込むのだった。
瓜田を轢きそうになった車の運転手はなんとかハンドルを右に切って、ガソリンスタンドの中へ入ると、ブレーキを目いっぱい踏んで停車させた。目は血走り、口からはよだれが出ている。すぐに窓があいて、「死にてえのか、あほんだら!」と怒声。瓜田はといえば、昔の血が騒いで言い返しそうなものの、あまりに急の出来事だったため声が出せず、足は震えるばかりだった。
やはり十五の夜には戻れないらしい。大人になった瓜田は、命あることをただただ感謝し、静かに地面へへたり込んだ。
『グリーンヘブン』
電話:029-892-1250
営業時間:?
定休日:?
この物語を初めから追いたいならこれを読むべし!
↓
追記
最近写真撮るの忘れること多し
ちなみにE弁当の本体価格は550円。
大盛は+50円とロープライスで販売されているよ。やったね。
幼稚園生相手に大の大人があたふたした話
稲敷市江戸崎『笑遊館』にて開催されるこいのぼり祭りに、三期生の地域おこし協力隊が紙芝居を見せにいきます。
お相手は幼稚園・保育園の年代なので、果たしてどうなることやら。静かにもくもくと紙芝居を見ている感じなのか、騒ぎに騒ぎ、いきり立っているのか、「このくそやろう。ひっこめこんにゃろう!」と、ヤジを飛ばされるのか、行ってみないことにはわからない。
そんなことより、若干緊張しているのは何故だ。手から汗がとまらんぜ。失敗を何より、も恐れてるぜ。逃げ出したいくらいには。大の大人が幼稚園生相手に震えあがっているぜ。でも地域おこし協力隊として活動するからには、初任務はきちんとやり遂げなくては。
ちなみに、前回の文章から推敲したのがこちら。
はなみずズーズー。はっくしょん。咳はゴホゴホゴホのまなぶくん。
いつもはおうちのベットで眠っていますが、今日は待ちに待ったお出かけの日。
らんらんらん! お母さんといっしょにすっきぷしながら公園へむかいます。
公園には川が流れています。きらきらきらきら、輝いていました。
「わーいわーい!」
ぴょん! 川で何かが飛び跳ねました。
「うわあ、なんだろう?」
ぴょんぴょんぴょんぴょんぴょん!
「こいだ!」
まなぶくんは大喜び。でも、こいの様子が変です。ねずみ色の小さな棒が刺さっているのが見えました。
「釘だ!」
ぴょんぴょんぴょんぴょん!
こいは何度も飛び跳ねます。
「ちょっと待ってて。今行くから!」
水の中へドボン。はなみずズーズー。はっくしょん。咳がゴホゴホ。それでもまなぶくんは、がんばってこいの元へと向かいました。少し怖かったけれど、こいの体に触れて、釘を抜くまなぶくん。
すると、どうでしょう。こいはすっかり元気になって、川を泳いでいくではありませんか。
「いっぱい生きてね」
泳いでいくこいを、まなぶくんは手を振りながら見送りました。
すいすい、泳ぐよ、こいくんは。
まなぶくんに釘を引っこ抜いてもらって、すっかり元気なこいくん。
「あのやさしい男の子にまた会いたいなあ」
「あの子なら、もうずっと、家から出ていやしないよ」
一匹のカラスがこいくんに向かっていいました。
「それならどこの家か知ってるのかい?」
「そりゃあもちろん」
カラスの教えてくれたおうちまでスイスイスイ。男の子はベットで眠っていました。
「もう治らないって」
カラスが悲しげに言いました。
「治らないって、何が」
「あの子の病気さ」
「そんな……」
「一つだけいい考えがあるんだけど、聞くかい?」
もったいぶって言うカラスを、こいくんは急かしました。
「そんなに焦るなって。病気が治る花があるんだ。どんな病気でもぱっと治っちまうような、ものすごい花さ」
「それを取ってくれば、あの男の子の病気は治るんだね?」
「もちろん」
スイスイスイスイ。急いで泳ぐよ、こいくんは。カラスの教えてくれた滝は、とっても大きい滝でした。あまりにも大きすぎて、こいくんは、
「うひゃあ!」
と驚いてしまいました。花はこの上にあると、カラスは言っていました。
こいくんは、「いくぞ!」と声を出して、おっきくジャンプ!
やった! 大成功! でもすぐに、落っこちてしまいます。
もう一度、ジャンプ! じゃんぷ! 大ジャンプ!
何度やっても上手くいきません。こいくんはいやになって、
「ぼくにできるのかなあ」
と泣きたくなってしまいました。
でも、こいくんはがんばります。まなぶくんの笑顔を取り戻すためです。そう簡単には諦めきれません。
もう一度、思いっきりジャンプ! ジャンプしては落ちて、ジャンプしては落ちて。
こいくんが滝の半分まで登るころには、日もすっかり落ちた夕方になっていました。
「やったやったやった!」
頂上までたどり着いたこいくん。花はすぐ近くです。口で花をもぎ取ると、こいくんは真っ逆さまに滝を落ちていきました。
まなぶくんはずっと、家の窓から外をみていました。「たいくつだなあ」と、独り言を呟いたそのとき。
ぽちゃん。
外で水が跳ねる音がしました。外へ見に行くと、何かが落ちていました。一本の小さな花です。手に取ってみると、まだ湿っていました。
「まなぶくん!」
「だれ?」
「ぼくだよ、こいだよ。あの時は助けてくれてありがとう! 花を取って来たんだ。ちょっと苦いけど、病気が治るんだよ。外にだって、いっぱいでられるんだ」
「本当に?」
「本当さ。だから早く!」
まなぶくんは嬉しくなって踊り出しました。右足を出し、左足を出し、わんつー、わんつー。こいくんもまなぶくんの動きに合わせてひれを動かします。まなぶくんとこいくんはずっと、踊り続けるのでした。
それから、まなぶくんの病気はすっかり良くなって元気いっぱい。いつでも遊べるようにと、こいの形をしたこいのぼりを作って、おうちの庭に飾ることにしました。
すいすいすいすい。そよ風に揺られてきもちよさそうに泳ぐこいのぼり。おっきな空にとけこんで楽しく笑っているようでした。
そんなこんなで、行ってまいります。
庁舎帰宅後……。
どっと疲れた。顔中あせだらだら。
だらだーらだーらら。
でも、みんないい子で本当によかった。お腹痛くなった。これはおそらく緊張のためではなく、男の子に殴られたせいだ(全然痛くはなかったよ笑)。
反省点は登場人物によって声色に強弱がつけられなかったこと。まなぶくん、こい、カラス、セリフ以外の地の文を読むナレーションを、全く同じトーンで読んでしまったため、幼稚園の子たちにわかりづらかったのではないかと。
明日もまた二組、同じ内容の紙芝居を読む予定なので、今度こそわかりやすく読めるようリベンジや!
江戸崎『笑遊館』
営業時間:10時00分~17時00分
電話: 029-892-2117
追記
推敲文載せてかさまししているとか言わない。
写真はあとで載せます。
コンテンツツーリズムとライトノベルと釣りと東京タワー
コンテンツツーリズムとは、
コンテンツ:小説、音楽、ゲーム、映画、YouTubeなど、WebサイトやDVD、CD-ROMタイトルに含まれる情報の内容のこと。娯楽や教養のために創作された内容を指す。
ツーリズム:観光事業。旅行業。また、観光旅行。
また、
「ファンがコンテンツ作品に興味を抱いて、その舞台をめぐる」だけでなく、「単に観光文脈だけでなく、地域の再生や活性化と結びついている点が重要」(酒井亨著『アニメが地方を救う!? 「聖地巡礼」の経済効果を考える』より)。
他にも「欧米では経営学を中心に観光学が捉えられているが、日本では文化人類学や地理学の影響が色濃い」、「コンテンツツーリズムが寄与する部分は、当該地域そのものの新たな魅力創出とその情報発信」など、調べれば調べるほど奥が深いコンテンツツーリズム。
なぜしょっぱなからこんな真面目雰囲気を漂わせた文章を書いているのかと聞かれれば、答えてあげるが世の情け。
ずばり、
『稲敷を舞台にした小説が書きたい!』からだ。
そもそも地域おこし協力隊に応募したきっかけも、地域密着型の濃い物語が書きたかったから。
しかしどうやら、小説よりもコンテンツツーリズムに適しているコンテンツが存在するようで……。アニメや漫画は、人を呼ぶこむには最適のジャンルらしい。特に対象者である若い世代を呼び込むには、アニメ以外にないのかもしれない。『らきすた』、『ラブライブ』、『ガルパン』しかり、日本においてアニメ文化は根強い。地域を巻き込んで観光客を呼び込む働きさえあるそうだ。例えばバスを痛車にしてみたり、巡礼マップを市が作成したり、巡礼ツアーを開催したりと、市も県も、「この手柄をみすみす逃すわけにはいかん!」と、躍起になって活動しているという(ちなみにいうと、あまりにも行き過ぎた活動は、裏に金の匂いを感じるらしく、好まれる傾向にはないらしい。やるなら質素に。また「ここがあのアニメのあの場所かあ」と自分で歩き回って見つけることに意味があるので、バスに乗せて順々に紹介、みたいな優しさはいらないという)。
なので書くなら小説ではなくポップなライトノベルで、しかも「当該地域そのものの新たな魅力創出とその情報発信」を満たした、地域おこしを見越した物語。
下記は軽い設定
・美少女が主人公。
・釣り(追体験ができるため)
・ライトノベルなのでどちらかというとファンタジーとかSFによっていきたい。
話をもう少し詰めていきたいので、挙げられるだけ設定のさわりを記していきます。
設定①すべての魚を釣って根絶やしにする主人公が、釣りを通して成長していく
↑
根絶やしって、おま……。
魚好きから批判食らって、お前が根絶やされっぞ。
設定②ブラックバスに親を殺された美少女主人公が、ブラックバスのボス(ブラックボス)に復讐を果たす。
↑
上手いこと言ったみたいな顔してんな。
設定③淡水魚好きな主人公が流れ着いたのが霞ヶ浦。記憶をなくしてしまい、自分の名前も素性も分からない主人公だが、淡水魚については異様な知識を披露する。田舎暮らしを通して成長していく。
↑
どこかでみたことのある既視感満載。
設定④主人公が魚。美少女のブラックバス。泳いでいく。
↑
どうやって話展開させるのか見当がつかない。
設定⑤ブラックバス大会に出場する主人公。おっきなブラックバスを釣って勝負だ!
↑
はいはい。
設定⑥MO手術を受け、ブラックバスと化した美少女が火星に行き、ゴキブリを倒す。
↑
これはいい。前例がないし、新鮮そのもの。タイトルはどうしようか。
寺ホームズでいっか。
なんか語呂いいし。
設定⑦釣り部に入部する主人公。仲間たちと協力してなんやかんやあるやつ。
設定⑧怪物と化した淡水魚を釣り、倒す。
設定⑨もうそろそろ限界。だいぶ。
設定⑩美少女五人くらいが泳ぎながら魚を手づかみ。もちろんお色気あり。むしろ売り。
設定⑪稲敷出身の美少女たちが、釣りで再復興を成功させる物語。
設定⑫淡水魚を根絶やしにする悪の組織対美少女軍団の話
設定⑬魚解剖を趣味とする美少女が淡水魚をメインに解体していく。
↑
やばいにおいしかしない。
設定⑭巨大化した魚を釣って食べる。魚以外の食べ物がなくなってしまった世界。
↑
トリコに近いけど、どうにかこうにか書けそう。
設定⑮もうそろそろいいんじゃないか。
この中からどれが選ばれるか。選ばれないかもしれない。
選ばれるか選ばれないかは。
あなた次第です!
アニメが地方を救う! ? - 聖地巡礼の経済効果を考える - (ワニブックスPLUS新書)
- 作者: 酒井亨
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2016/06/08
- メディア: 新書
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地域おこしに関してメモ程度のブログ(見たらしぬやつ)
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思ったことつらつらと書いていくだけの回。文章力は皆無。メモ程度のブログ。
思ったことつらつらと書いていくだけの回。文章力は皆無。メモ程度のブログ。
見たら死ぬやつ。
ほんとは生きてるやつ。
地域おこしに関して。 人を呼ぶこむために必要なことって何だろうという、考えても考えてもきりがないことを、いっぱい考えてみた。考えに考えて頭が煮え切って、でもちょっと方向性をみいだすことができたのでここに記しましょうというだけのやつ。
稲敷の問題点。
まず交通の便はどうしようもないこと。稲敷に常磐線でも通ればいとも簡単に人を呼ぶことは可能だろうけど、そもそもそんな予算はないだろうし、電車が通っていないよさもある。のんびりとした独特の文化を形成するために。バスの本数を増やす計画も実行されているから、これに関しては地域おこし協力隊の出る幕ではない気がする。
あと道路に関して。道路は正直あんまりよくはない。少なくとも自転車乗りには。東北大震災の影響かはわからないけど、ところどころ地盤が隆起していてそこに自転車のタイヤが嵌ってこけそうになったことが何回かある。江戸崎のタイヨー近くの歩道を通るたび、「市川ほどではないにしろ道路が微妙だなあ」と。車社会だから関係ないでは済まないのが正直なところ。車に乗れない子供や学生をないがしろにしたら若い世代が「大人になってもここに住もう」と思わなくなってしまうかもしれないし。それに付随して、稲敷には自転車屋が少ない。パンクしたとか故障したってときに、すぐちかくに自転車屋があれば何キロ、何十キロも歩かなくて済むのになあ、と。
自然に関しては……。公園が思ったほど整備されていないことに驚いてしまった。雑草が生え、ポンプ式の水は流れず、生き物が住める状態ではない(カエルはぴょんぴょんはねてた)。古渡水の里公園は一見すると大きくてちゃんとした公園だけど、ひと月に一回とか、人がきて整備した感じは見受けられなかった。人手が足りなかったのか、作るだけ作って整備のことは少しも考えていなかったのか。公園整備は地域おこし協力隊でも力になれることがあるかもしれない。
名物、名産になるもの。れんこん、かぼちゃ、マッシュルーム。などなど。ぼくが望むのは、つくばの『ポテトかいつか』みたいに、地域限定で加工品を製造・販売する企業が稲敷にも誕生してくれないかなと。当ブログで紹介しているように、加工品で売りになるものは稲敷にいくらでもあるのだけど、PR力が弱いのか、はたまた他に問題があるのか、稲敷=で紹介することのできる名産がないのがネック。やっぱり女の人にうけるため、スイーツがメインになるか。かぼちゃを使った甘くておいしいスイーツを地域おこしで作れないものか。
稲敷の売りを考えてみる。
霞ヶ浦があるから釣りには適している。サイクリングは少し微妙(といって企画しているのは自転車がらみ)。霞ヶ浦沿いは走りやすいかも。バードウォッチングもできる。オオヒシクイは稲敷にしか現れないらしいし(大体冬場)。自然はある(公園さえよければ……)。第一産業が活発。都内に近い。などなど。稲敷に越して二週間程度でこれだけの良さを発見できたのだから、隠された良さはもっとあると思う。
この売りをうまいこと市外のひとたちに知ってもらうにはどうすればいいのだろうと、考えた結果、出た答えは……。
- 有名人に稲敷をPRしてもらう。
- 稲敷だけで自作の映画を撮る。
- はねやすめを使ってイベントを企画する。
- サイクリングとバードウォッチングを掛け合わせたイベントの企画
- ドローンを使用したなにか
- 出会いの場を作る
- 小説を書く
- 釣り人を巻き込む企画
- 土浦が自転車に乗る人にやさしい市なら、稲敷は釣り人に優しい市になっちゃえばいいんじゃないか
- 企業とコラボしてスイーツ作る
空想物語から実現可能なものまで。釣り分野でライトノベル書くのも面白いかなあと思っているけど、釣りに興味がない人間が付け焼刃で書いてもしょうがない気もする。自転車の場合、売れてる前例が多すぎるから、手をつけたくないというのが正直なところ。当分は今まで通り、小説と店の紹介を組み合わせたブログで、稲敷を知ってもらう方向でやっていくしかないかなあなんて。
今回のブログ、終わり方がわからないので、変なところで切ろうと思います。
それでは皆さん、
稲敷の江戸崎甲にある『がんこや』を小説風に紹介してみた!
田んぼ道を歩きながら、瓜田は珍しく落ち込んでいた。
かつての旧友たちとはすっかり連絡が途絶えていたのに、ある日、急にラインが入ったと思ったら、「結婚します」の一言。式に呼ぶわけでもなく、「明日雨が降ります」とか「虫が出ました」といった報告に過ぎない、無味乾燥とした連絡に酷く心をかき乱された。
しかもそれが実は「結婚します」ではなく「結婚しました」だったのだから、瓜田の怒りも然るべきだった。
瓜田はそれをタイムラインで知った。ウエディングケーキを囲み、楽しそうに笑う新郎新婦。新郎新婦を囲むのは、懐かしい顔ぶれの連中ばかりだった。特攻隊長の印藤に、にぎやかしの坂内、龍の落とし子こと桐崎、右腕爆弾の万代、背中毛多しの白夜、古今東西獏良谷、外国人ピンチヒッター・ジョセフと、A中学校の面々が画面をスクロールするごとに登場しては消え、また現れる。みな一様に笑顔で、スマホを見ている瓜田だけは岩のように硬い表情を崩さなかった。
あのときの友情を忘れて社会人になり、友を忘れて結婚をし、事後報告の連絡さえ直接ではなくライン越し。こんなことならかたくなまでに大学進学を選ばずに、連中と同じように高校卒業後、自営で商売を始めればよかったとつくづく後悔した。
夕方間際、もう少し時期が進めば、田んぼに水が引かれ、苗植えが始まるはずだった。水田に映る夕日を見たくて散歩を始めたのに。瓜田は行き先を変えて、踵を返した。
一抹のわびしさを紛らわすために、人がたくさんいる場所を目指した。稲波にある田んぼから県道49号線のほうに歩いていくと、駐車場にたくさんの車が停まっているのが確認できた。
看板には『がんこ屋』の文字。瓜田はそこまで腹を空かせていなかったが、寂しさを紛らわすために中へ入ることにした。人はそこまで多くない。ラーメン屋にありがちだが女性客は一割にも満たず、席は男性客でいっぱいだった。一番奥の席に通された瓜田は、スーラ―岩のりおろしラーメンを注文する。
十分も待たず、お目当てのラーメンが目の前に差し出された。まずその暴力的なインパクト大の見た目に圧倒される。
黒くパサついたノリ。それが一度汁に浸されると、水気を吸ってダイヤモンドのごとく光輝く。原石がこんなにもきらびやかに輝こうとは。いったい誰が予想できただろう。
そして、おろし。しかしおろしはこのラーメンの具材の中ではあきらかにインパクト不足だ。その存在感の薄さから、瓜田は「忍者」の称号を勝手に与えることにする。
チャーシューは一つ。分厚い。箸で持ち上げただけでその柔らかさに度肝を抜かれる。ああ、よだれが。
早速汁を啜る。それほど酸っぱくはない。どころか甘みを感じる。出汁の甘み。一度啜っただけで出汁の甘みが、二度啜っただけでラーメンの世界観が、三度啜っただけで店主の人生が、四度啜ればイッツアラーメンワールド(?)。ラーメンのストーリーが口に広がる。この世界に脇役は存在しえなかった。
次に口をつけるのは岩のりだ。うん、ぱさついている。汁に付けて初めて本領を発揮するスロースターターなノリは、見た目と同等、味にも確かなパンチがある。それまでラーメンを食べていたのに、一挙に押し寄せる磯の香。ああ、泳ぎたい。
ここではじめて麺を啜る。啜る、啜る、啜る。岩のりが絡まって、麺に新たな触感をプラスする。もう満足だった。これだけで八百円の価値はある。
しかしこのラーメンの猛攻はとどまることを知らなかった。さきほど見た目のインパクトが弱いと揶揄したおろしがここにきて、山の偉大さを存分に発揮してきたのだ。
おろしのさっぱり感ですべてが浄化される思いがした。今までA中の連中と巻き起こしてきた悪行の数々も、神に背いた非道も、あれやこれらも、さっぱりと。懺悔したい思いで涙ぐんだ瓜田に、おろしはそっと微笑んでくれた。
「大丈夫、君は一人じゃないよ」。
磯のノリ、山のおろし、二つの神を携えたこのラーメンに死角はなかった。しかし、忘れてはいけないチャーシューの厚み。歯がいらないという手あかのつき過ぎた表現はもう使いたくはない。肉の繊維が噛むたびに崩れていく、『崩壊する肉』とでも呼ぼうか。
瓜田の手は止まることを知らなかった。汗が噴き出ても構うものかと、一気に麺を啜り上げる。もう一抹のわびしさなど感じる暇すら与えてはくれなった。腹は満たされ、気持ちも落ち着きを取り戻した。
――あいつのこと、許してやるか。
店を飛び出し、歩幅は自然と大きくなる。急ぐ必要もないのに、次第に駆け足になって県道を突き進む。途中、爆走するNBOXとすれ違って瓜田は目を丸くしたが、もうそんなこともどうでもよくなるくらい、気分がハイになっていた。
その時だ。瓜田がいる歩道の反対側に、彼女の姿を見つけたのは。
「おい!」
女が振り返る。そのあとを追うようにして、女の横にいた男が振り向く。
「てめえ!」
瓜田は駆け出した。女と男をめがけて、猛進する。反対車線から車が来ていることにも気が付かずに。
『がんこや』江戸崎店
営業時間:11時00分~21時30分
定休日:月曜日
電話: 029-892-8115
この物語を初めから読みたいならこれを読むべし!
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追記
てか『がんこや』チェーン店なのね
稲敷だけの店かと思ったんだけど
ま、いっか。うまかったし。