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茨城県稲敷市地域おこし協力隊が稲敷について語ります。

プレイスメイキング――公園づくりが田舎を救う?――

地域に根付くために必要なこと。

居場所をつくる。

 

千葉の市川にいたとき、驚いたことは、その駐車場の多さだった。スーパー、靴屋、その間に駐車場、ラーメン屋、バイク屋、その間に駐車場。大人たちが使いやすいように空間を創造するばかりで、子供たちが遊ぶための居場所は小さな公園に限られていた。

東京メトロ東西線の高架下には保育園が造成された。上では電車がひっきりなしに通過し、両サイドには排気ガスをまき散らす自動車が走行。立地がいいかと言われれば微妙なところで、それもこれもすべて原因は、大人たちが利益重視で、狭い土地にばかすかと建物を建てていったからに他ならない。

 

クレヨンしんちゃんの映画『クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん』でもこんな描写がある。野原しんのすけの父親・ひろしはぎっくり腰になってしまい、家族から「邪魔だ」と邪険に扱われる。唯一の居場所を追い出されたひろしは、近くの公園のベンチでうなだれていた。すると、そこには同じような境遇で俯く男たちがいて……。

 

人にとって居場所はものすごく重要なのに、ものすごく軽視されている。

4月24日に行われた和田公園プレイスメイキング(簡単に言うと、稲敷浮島にある和田公園にちょっとしたエッセンスを加えて、人を呼び込む公園にしちゃおうという企画)の会議で、『居場所』の重要性を再認識した。今回のまじめ腐ったブログでは(不本意)、プレイスメイキングについて紐解いていこうと思う。

 

〇プレイスメイキングとは

 

プレイスメイキングはアメリカでうまれた「居場所づくり」を指す言葉。しかし、明確な解釈が存在せず、定義もひとつに限られているわけではない。「すべての人々が住んでいる地域において、自分自身を見つける居場所に変換していく方法」と語るのはLinda. H Schneekloth。研究者の三友奈々は「日常の生活場面をより実在感のあるものにする心的価値をつくり、居場所としての満足感を高め、生活の質を高める計画概念」であると語り、Jay Walljasperは「安全で活発に利用され、コミュニティの社会的活力及び経済を活性化するための触媒となり得るような公共空間を創出するために、コミュニティと協働すること自体もその言葉に内包する」と語っている。

 

簡単に言えば、「快適な居場所を作っちゃえばいいんじゃね? したらみんなハッピーしょ!」ってことだ。

 

〇プレイスメイキングの意図

プレイスメイキングは決して、人を呼び込むために行うものではないことを理解しなければならない。ただ人を呼び込むためならド派手なイベントを催せばいいだけだし、有名な芸能人でも呼べば簡単に解決してしまう話だ。しかし、プレイス=居場所を、メイキング=作るのだから、一過性であってはならない。毎月一定数の来客が見込め、その場所を魅力的に感じ、常に居たいと思わせる空間を作る。第一に優先されることが商業目的ではあってはならないし(市川のように)、利用者を第一に考えた、誰に対しても(野原ひろしのようなぞんざいに扱われる父親にも)優しい居場所を創造することを主眼に置く。

 

〇プレイスメーカーとは

プレイス(居場所)をメーカー(作る人)する人を指す。愛着の持てる居場所作りに邁進し、利用者に唯一無二の居場所を提供するプレスメイキングの専門家のこと。

 

〇プレスメイキング成功事例

・中町公園の『FLAT PARK』

四日間限定で厚木市・中町公園に置かれたのは簡易的な椅子とテーブル、人工芝の絨毯に、本棚のみ。

普段の中町公園は子供の遊ぶもなく、公園と呼ぶよりかは広場に近い様相。しかし上記に挙げた小規模な設営で人が集まり、コミュニティが作られた。

 

・米国ニューヨーク市『ブライアントパーク』

約4500脚の可動式椅子を設置し、六か月の飲食店を経営させたところ、勝手に人が集まり、犯罪多発地区だった公園を賑わせた。

 

・池袋グリーン大通りの『GREEN BLVD MARKET』

洒落た出店を出し、ハイカウンターでは立ちながらビールを飲むことができる。ちょっとした設営でも人が集まり、賑わいを見せる。

 

 

稲敷浮島・和田公園でのプレスメイキング考案

人口減少が叫ばれる稲敷だが、良スポットは数え切らないほどたくさんある。和田公園もその一つで、近くには霞ヶ浦が流れ、緑は多く、生き物たちもたくさん住んでいる。今回、この和田公園を活用して町おこしできないかと考え、プレスメイキングという形で会議が開かれた。

 

・ターゲット

霞ヶ浦周囲を走る自転車乗り

地元住民の方々(特に親子連れ)

 

・自転車乗り向けの案

自転車を置くためのラックを設ける

入りやすい看板を作る

走行に適した地盤づくり

霞ヶ浦を走行する自転車乗りのために給水ポイントを設ける

空気入れなどを無償で提供する

 

・親子連れ向けの案

イベントを企画、運営する

常に活動しているのをイメージづけるため、和田公園専用のフェイスブックを作り、運営する

レジャーシートを置き、座れるスペースを作る(ベンチや椅子だと古くなった時に再塗装やねじの交換が必要になるため、レジャーシートを活用。また、レジャーシートのほうが、首を回さずに周囲を見渡せるため、公園の景色を眺めるのに適している)

遊具には頼らない、運営のいらない遊びをつくる(テントを使用した遊び。夜なら、懐中電灯一つ入れておくだけでも、その明かりで遊ぶことができる)

定期的に、竹とんぼや、ゆらゆらうごくやじろべえ、缶ぽっくり、紙鉄砲、ぶんぶんごまなどアナログで自作できる遊びを、地元の子供たちにレクチャーする

 

両者向け

チューリップだけではない畑の使用方法を考える

 

 

まだ計画は序盤も序盤で、完全始動にまでは至っていないが、人が集まり意見を交わすことで今まで見えなかった問題にも着手することが可能になり、一歩、また一歩と、よりよいまちづくりのため邁進できるだろう。

 

 

和田公園

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